テレワークの普及を取り巻く現状と課題 ~新型コロナウイルス感染拡大とテレワークの普及~

 平成31年4月1日から施行された「働き方改革関連法」により改正された「労働時間等設定改善法」により、勤務間インターバル制度を導入することが事業主の努力義務となった。

 また、新型コロナウイルス感染拡大の社会経済活動への影響は非常に大きく、これまでの働き方を見直す、働き方改革の流れが強まっている。

 働き方改革の流れは、行政、教育、介護、医療など、あらゆる分野において見直しの機運が高まっている。これらの動きに伴い、新たな働き方としてのテレワークが注目されている。

1)テレワーク導入のための情報・通信環境の高度化

 テレワークは、『ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方』であるとされ、近年、スマートフォン、タブレット端末等の情報通信機器が発達するとともに、通信サービスについても、高速大容量データ通信サービスが普及し、運用コストやセキュリティ確保の課題も解決されつつあり、テレワークを導入するための情報・通信環境は、飛躍的に進展している。このため、新型コロナウイルス感染の長期化への対応策としても今後、導入する企業や団体が増加するものとみられる。

2)テレワークの実態について

 国土交通省が実施した「令和2年度テレワーク人口実態調査結果」によると、令和2年の都道府県別の雇用型テレワーカー(民間会社、官公庁、その他の法人・団体の正社員・職員、及び派遣社員・職員、契約社員・職員、嘱託、パート、アルバイトを本業としている人)のテレワーク実施状況は、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)が34.1%ともっとも高く、続いて近畿圏(京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)23.3%、中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)19.7%、地方都市圏(上記以外の道県)16.2%という結果となっている。

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

 

 

 

 

 

 

■テレワークの類型

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■業種別 雇用型テレワーカーの割合【令和1・2年度】 

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

 

■テレワークを導入したいと思わない理由  

 令和2年度テレワーク人口実態調査結果を見ると、今後テレワークを実施したくない理由(テレワーカー)については、「仕事に支障が生じる(業務効率低下など)」、「職場に制度がないから」、「仕事の内容がテレワークになじまない」、「自由な時間が増えるとは思わない」などの意見が多い結果だった。(複数回答)

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

国土交通省:令和2年度テレワーク人口実態調査

■テレワーク導入満足度  

 また、テレワーク導入に対する満足度については、「大変満足している」と「やや満足している」の合計が約64%である。

 一方、テレワークを実施してよかった点は、「通勤が不要、または、通勤の負担が軽減された」の 約74%が最も多く、次いで「時間の融通が利くので、時間を有効に使えた」の約59%、「新型コロナウイルスに感染する可能性がある中で出勤しなくても業務を行えた」の約43%の結果だった。(複数回答)

 

 

3)地方公共団体のテレワーク導入の動き

 新型コロナウイルス感染拡大にともなって、令和2年2月以降、政府から地方公共団体や企業に対して、時差出勤やテレワーク等を強力に推進することが呼びかけられた。地方公共団体におけるテレワークの導入状況をみると、令和元年10月時点では、都道府県や政令市で導入している団体がみられる程度だったが、令和2年10月時点では市区町村で約 2 割の導入状況となり、今後導入を検討している団体も増加している。

 このように、新型コロナ感染症対策の必要性を背景として普及・拡大してきたテレワークだが、そもそも、地域に密着しての住民サービスを主業務とする地方公共団体においてなぜ、テレワークを推進することが求められるのか。 労働力人口が減少するなか、行政を支える人材を確保するためにも、ライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるようにし多様な人材が活躍できる組織や職場環境を整えることが不可欠であり、テレワークは、「時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段」となるとして、長時間労働の抑制や休暇取得促進と合わせて、「働き方改革」における重要な取組の一つである。       

参考資料:厚生労働省テレワークではじめる働き方改革