男女共同参画指標の信頼度とは?
______________________________________________________________________________________________________________
〜B市男女共同参画計画策定〜                       
計画室主幹 勝田美穂子

 地場産業の特性などから伝統的に女性がよく働くといわれる地域で、現在(策定時)も女性の労働力率が55%と高いことから(全国48.2%)、ある意味で男女共同参画の先進地にちがいない、との思いで業務に臨んだ。
 ところが策定の比較的早い段階から、策定委員会での会話に心がひっかかった。「こちらの地域は女性の労働力率が高いので、就労に関しては先進地ですね」との私の発言に対して、ある女性委員はとんでもないとでも言いたげな様子で、「高いのはただ単に、典型的な田舎ということの表れでしょう?」と切り返されてしまった。「ええっ。そ、そうですか、田舎でも低いところは低いんですが・・・」
 確かに、アンケートや現状調査を進めていくうちに(その委員の思いを裏付けるように)、このまちでも固定的役割分担の現状や意識のあり方など、分野によって大きな偏りがあることが明らかになっていった。あわせて少子化や嫁不足などの問題も一体的に考えるべきであるとの声も聞かれ、男女共同参画をめぐる地域課題について改めて考えさせられることとなった。
 しかし、である。果たして、都市部での女性労働力率がやや低いという傾向をそのまま裏返して、「田舎イコール女性労働力率が高い」という図式は正解となるのか?確信がなかった。直感的には・・・統計を概観したり、各地を訪れた際に感じる空気感のようなものから・・・むしろ都道府県ごとに特徴がありそうだと思っていたからだ。
 後日改めて、女性の労働力率を地域別に比較してみた。すると、近畿とその周辺地域では、低いところは20%台後半から、高いところで50%台後半までと実に幅広い違いがみられた。けれど、他の主要指標との関連性は?どうも腑に落ちない。都市部でも50%以上のところもあれば、山間部で軒並み30%台というところもある。

 
多少なりとも土地勘のある地域については、至近な場所に雇用環境が整っているから高いのか・・・とか超高齢化のために低いのか、などと見当がつくものもある。しかし、だからといって同じ法則が他の地域ではあてはまるとは限らない。同じ労働力率を示していても、理由はさまざまのようだ。
 また、B市のようにトップクラスの女性労働力率であっても、分野によっては根強い役割分担意識が残るなど、数値の高低だけで単純比較しきれない背景のほうがむしろ重要かもしれない。他県のある村では村民のほとんどが「幸せ」と感じて暮らしていると言う。女性労働力率はというと、30%台である。
 男女共同参画社会の理想像も、そのためのアプローチも、長い歴史の中で培われてきた地域の文化ごとに、ひとつひとつ違っているのが本当なのかもしれない。あの有名なM字カーブも、へこみが無くなればいいという単純なものではなさそうだ。

※M字カーブ:日本では女性の労働力率を年齢階級別にグラフで表すとM字のようなカーブとなり、結婚や出産を機に退職し、子育てが一段落すると再就職するという傾向が表れている。欧米各国やスウェーデン、フィリピンなどでは、1970〜80年代頃までは同様の形であったが、近年は男性同様の逆U字カーブを示す国が多くなっている。

戻る
M日本都市計画研究所 MNITTOKEN Copyright(C)2004 NITTOKEN Co.Ltd,All Rights Reserved.